
斜頭症に付随する症状の予防をしたいと考えています。
斜頭症と予防的療育
斜頭症は様々な症状/障碍を合併している事が多い事で知られています。
有名なのは「股関節脱臼」「乳児(もしくは幼児)脊柱側湾症」「耳介変形」「筋性斜頸」であり、「股関節脱臼の前段階である股関節偏位症に関しては発症割合が100%と発表した医師もおります。
また認知に関する問題も発症しやすく、2019年には相次いで斜頭症と認知/発達遅延に関する論文が発表されました。
例えば、
“Cognitive Outcomes and Positional Plagiocephaly”
Pediatrics 143(2):e20182373 • January 2019
”School-aged children with moderate to severe PPB scored lower than controls on cognitive and academic measures; associations were negligible among children with mild PPB. “
「中等度から重度のPPBの学齢期の子供は、認知的および学術的尺度のコントロールよりも低いスコアを記録しました。 軽度のPPBの小児では、関連性は無視できました。」
PPB、というのは“positional plagiocephaly and/or brachycephaly”(位置性斜頭症及び/若しくは短頭症)の事ですが、これは斜頭症のお子さんは将来的に療育を必要とする可能性がある、と言うこと。
これを問題を感じてから手を打つか、それとも事前に予防するか。
当治療院では後者の立場におります。
「予防的療育」
という言葉があります。
日本ではほぼ聞く事のない療育手法です。
斜頭症のお子さんはいくつもの症状を起こしやすい事が分かっているのですから、予防できればそれが一番ではないかと思います。
初診で来られると分かりますが、最初に「簡易発達検査」を行います。
これは斜頭症の矯正を手掛けた当初から全例で行っているのですが、少なくない事例で予防的療育を行っています。
赤ちゃんへの話しかけの仕方から、絵本の選び方など必要に応じて指導を行います。
時には病院の診察を促す事も少なくありません。
(病院への紹介状を書くケースは毎年結構な件数あります)
当治療院が療育機関の一つとして数多くの障碍を持ったお子さん方をみてきた実績があるからこそ、可能な事です。
ご存知かも知れませんが、当治療院は斜頭症の赤ちゃんに股関節の偏位が多い事を見つけ、斜頭症性股関節偏位症と名付けて啓蒙活動を続けています。
そのおかげもあり、小児科医の間でも頭の変形のあるお子さんには股関節のチェックをする人が増えているそうです。
股関節だけではありません。
耳や目、口腔機能などに症状を持つケースもあります。
当治療院では来院された赤ちゃんの潜在的な問題を少しでも見つけて予防できるようにしたいと考えておりまう。
将来的に、斜頭症治療を行なっている病院でも、初診時に簡易発達検査が導入される事を願っている次第です。