
人によっては2キロくらいはラクに落ちる
呼吸を変えればやせやすくなるんだ
残念なことですが、日本人女性の上半身は徐々に貧弱になっています。私はU―W比というものを提唱していますが、これはアンダーバストとウエストの比率の事をいいます。アンダーバストとウエストの比率は身長にもよりますが、標準的な立いけの方の場合、約5.1:4となります。ウエストが63センチの女性の場合、アンダーバストがやく80.3センチという計算でしょうか。これ位のアンダーバストがありませんと、アンダーバストからウエストにかけての括れが出来ませんし、アンダーバストが細すぎると内臓下垂まで起こってしまい、例え、肥満でなくても下腹部がぽっこり出てしまいウエストが太くなってしまいます。
ところが、20歳代女性の平均的なアンダーバストのサイズは72センチほど。そしてウエストのサイズは67センチ。これは上半身が貧弱になることでウエストが太くなってしまったからです。こういった方にウエストを細くしなさいと言っても胸郭が広がらなければ、到底細くしようがないのです。
胸郭を動かすだけで2日で1kg近く痩せられる
そうです。胸郭を広げる呼吸を行えば良いのです。それを、私は胸郭呼吸と名付けました。馴染みのない名前かもしれませんが、現在はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)のリハビリにも使われたり、医師国家試験にも出題された方法です。詳細は後述しますが、この呼吸法を行うだけで、自然と呼吸量が増えその分代謝がアップするのです。
先ほど、腹式呼吸だと1日に470gもの脂肪を溜め込んでしまうと書きました。10gの脂肪を消費するのに必要な運動はジョギングや水泳だと15分、ゆっくりめのウォーキングの場合、45分もかかってしまいます。ところが胸郭呼吸を行うだけで1日に470gもの脂肪を勝手に燃焼する体質になるのです。
もちろん、これらは机上の計算ですから、ここまで痩せないかもしれませんが、多くの方が、この呼吸法とストレッチを行うことでやせ体質づくりに成功しているのです。無理な食事制限や急激な運動は体に良くありません。どうすれば代謝を上げやすくできるかを考え、無理のない体質改善ができるか。その回答の一つが胸郭呼吸法なのです。
胸郭呼吸を超えた胸腹ポンプ呼吸
良いとこづくめのように思える胸郭呼吸ですが、実は、一つだけ難点があります。それはお腹の体液を胸郭に吸い込む胸郭ポンプは使えますが、下半身の体液を吸い上げるには少しポンプ作用が弱いのです。腹部の体液循環は、下半身から腹部に体液を吸い上げて、それを胸郭に送り出すという一連の流れがないと、特に下腹部の循環が得にくくなってしまいます。お腹に下半身の体液を吸い上げるには腹式呼吸がありますが、これは前述したとおり呼吸量を減らしてしまいます。そこで、新しく呼吸法を考案することになったのです。
呼吸をするときに、2つのツボを使います。中完と関元というツボです。ツボは筋肉と筋肉の隙間や関節部などにあるのですが、もう一つ、体液循環の要所にもあります。また、ツボを押さえることで、ある種の運動を抑制することもできます。この2つのツボはこういった働きを持つことで、腹式呼吸のデメリットを補いながら、胸郭呼吸と腹式呼吸のメリット(下半身の体液を吸い上げながら腹部の体液を胸郭に送り出す)を同時に得られるのです。