骨盤には4種類の関節があります。
このイラストの骨盤は女性の骨盤です。
骨盤は左右の寛骨と仙骨から構成されます。
骨盤の関節は、仙骨と寛骨をつなげる、
・仙腸関節
と左右の寛骨をつなげる
・恥骨結合
があります。
また、脚の付け根には
・股関節
背骨と骨盤による、
・腰仙関節
があります。
骨盤矯正を行う際には、
これら4つの関節(結合)の状態を整えていくことになります。
文章で書くととても簡単になりますが、実際は非常に高い技術が必要になります。
例えば、股関節は特殊な形成過程を経ていますので、受け皿の部分(股関節臼)と、
はまる部分(大腿骨頭)の形状の一致度が非常に高いという特徴を持ちます。
これを一致関節と言います。
そのために、股関節は非常に強固な構造にもかかわらず可動性を得ることが出来るのですが、
反面、構造を理解しないと矯正させることはできません。
股関節の矯正というのは、この股関節臼と大腿骨頭の位置関係を矯正するのではなく、本来あるべき運動範囲に復させることをいいます。
ですから、位置関係を矯正しようと考えて施術すると意味のない矯正になりますし、運動範囲の改善を行うには高い知識が必要です。
そういった理由から知識や技術がない人が施術をすると良くなったと思っても全く変化していなかったり時には悪化させることもあるのです。
一般的に「骨盤が歪む(ゆがむ)」という言葉を整体師の方々は使いますが、
私たち解剖学を専門とする人は「骨盤はゆがまない」と考えます。
サイトのトップでも紹介した通り、
骨盤に関する関節の不調和を私の治療院では改善していきますが、
骨盤そのものが整体師が言うように変形することはないからです。
また、骨盤は特殊なハニカム構造をしています。
このハニカム構造を理解しないと応力がどう作用して、
どこに集中したり、または分散するということが分かりません。
すると効果的な骨盤矯正を行いたくても、または、同じ施術をしたとしても、
効果的な結果を得られなくなるのです。
特に仙腸関節は非常に小さな動きの範囲で矯正を行う必要があります。
90年代まで、この関節は動かないとされており、この20年でようやく40年以上前に私共が提唱していた仙腸関節の運動が医学的に証明されるようになりました。
それくらい、この関節は小さな動きなのですが、その小さな動きを読み取り矯正するには整体やカイロプラクティックで行うようなバキバキ鳴らす矯正は不向きなのです。
ですから、骨盤矯正と一口で言っても、効果のない施術が存在してしまうのです。
文責:山田光敏
この文章には著作権があります。引用・転載などはお断りいたします。2019年12月10日
ここで使用した画像は同じ解剖学会の先生が主催する解剖学教室のサイトから引用しております。